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掛川100景 【No.7】 よこすかしろ

日本で最北限のサトウキビ産地、遠州横須賀

よこすかしろは、サトウキビを原料につくられる含蜜糖の一種、白下糖(しろしたとう)です。

遠州横須賀にサトウキビ栽培が伝わったのは、今から230年ほど前の江戸時代に遡ります。

遠州灘に面した温暖な気候と、砂地の畑であることがサトウキビ栽培に適していたため、横須賀藩の後押しで量産体制が確立されました。

やがて大阪や江戸に持ち込まれ、全国に広がることとなります。


よこすかしろをどうミルか?👀

👀01. 土佐から持ち帰った製糖技術

寛政4年(1772年)遠州横須賀藩の武士『潮田信助』が、土佐の国(現在の高知県)からサトウキビ苗の栽培方法と製糖技術を持ち帰ったのが、よこすかしろのはじまりだと言われています。

現代のように、国内の自由な行き来が許されていなかった江戸時代。

潮田信助が、武士の身分を隠して土佐へ忍び込み、砂糖の栽培法と製糖法を覚えていなければ、遠州横須賀地域でサトウキビが栽培されることはなかったかもしれません。

サトウキビは春に植え付け、成長し糖度が高くなる秋ごろ収穫します

👀02. あっさりと上品な甘さがよこすかしろの特徴

よこすかしろは、たんぱく質やカリウムを含む栄養価の高い砂糖として評価されています。

黒糖よりもくせがなく、ヘルシーな甘味料として料理やお菓子づくりに使われる他、高級和砂糖『和三盆』の原料にもなります。

今はサトウキビの加工に『しぼり機』を使いますが、昔はどのように加工したのでしょう?
大釜で煮詰めて、黄金色に結晶化するとよこすかしろの完成です

👀03. よこすかしろ保存会と販売場所

サトウキビ栽培は、徳川幕府の終焉で藩が解体された後、衰退の一途をたどりました。

よこすかしろづくりが途絶え、サトウキビの栽培状況が農家の庭先程度にまで減少する中、平成元年(1989年)に商工会が中心となり、よこすかしろの復活に乗り出します。

その後『よこすかしろ保存会』が中心となって、栽培と製糖を行い、伝統を絶やさぬように活動を続けています。

よこすかしろは、『とうもんの里』『これしっか処』他で販売されています。

掛川市内の和菓子店『菓子司しみづ』では、
よこすかしろを使った『よこすかしろ羊羹』が販売されています

よこすかしろ加工場: 掛川市大渕1456-312
※作業は期間限定のため、加工場およびサトウキビ畑の常時見学は行っておりません(2024年12月。記事公開時情報)