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掛川100景 【No.13】 沖ちゃん塩

遠州灘の恵みと手仕事が生み出す『沖ちゃん塩』

『沖ちゃん塩(おきちゃんしお)』は、ミネラルを豊富に含んだ、まろやかで奥深い味わいの塩です。

遠州灘に面した掛川市沖之須地区ではかつて、透明度の高い海水と、塩の天日干しに適した気候がそろっていたことから、塩づくりが盛んにおこなわれていました。

現在は製塩技術が発達し、昔ながらの塩づくり風景を見かけることは少なくなりましたが、沖ちゃん塩は自然の恵みをいかした個性ある塩づくり手法を、今も変わらず守り続けています。


沖ちゃん塩をどうミルか?👀

👀01. 平釜で時間をかけて海水を煮詰める

沖ちゃん塩は、平釜でじっくりと時間をかけて海水を煮詰める製法で作られます。火加減や攪拌(かくはん)のタイミングを見極めるのは、経験と感覚が頼りです。この手間暇かけたプロセスが、塩に特有のまろやかさを与えています。

塩づくりは、夜明け前から釜に薪をくべはじめます。遠州灘の海水を10時間ほどかけて蒸発させていく、炎の前で付きっきりの作業が続きます。

この製法により、塩の粒子が細かく仕上がり、口当たり優しく、旨味をしっかりと引き出すことができるのです。

煮詰め過ぎると塩の味や出来上がり量に影響してしまうそうです

その後も、製品になるまでの工程は、天日干し作業や袋詰めまですべて地元で完結し、手作業でおこなわれています。

塩づくりの技法によって、成分や味わいはどのように変化するのだろう?

👀02. 健康と生き甲斐につながる地域の場づくり

沖ちゃん塩は、調味料としてだけでなく、沖之須地区の地域活性化にも貢献しています。

塩づくりの伝統を復活させ、製造を続けるのは、地元の有志からなる『遠州沖ちゃんクラブ』です。

平成14年(2002年)、沖之須地域にコミュニティセンターがつくられたことをきっかけに、地域の健康や生き甲斐となる場所を作りたいとの想いから活動がスタートしました。

地元の人々が協力し合い、地域のつながりを大事に守りながら沖ちゃん塩の製造を続けることで、地域の特産品としての価値を高めています。

作業は重労働ですが、穏やかな時の流れが会話を生み、地域の交流や健康を支えています。

手作業で丁寧に仕上げることで、一般的な工業製品では得られない深い味わいが生まれます

👀03. 沖ちゃん塩の地産地消活動

沖ちゃん塩は、料理の味を引き立てる調味料として、家庭や地元飲食店で活用されています。和食はもちろん、スイーツのアクセントにひとつまみ加えるだけで、甘さが引き立ちます。

掛川市の地域イベントでは、沖ちゃん塩を使ったおにぎりや、味噌づくり体験に使われることも。真っ白な美しい塩は、お土産や贈り物としても人気です。

他にも、熱中症対策にぴったりな『沖ちゃん塩の飴』など、様々なカタチで商品化されて親しまれています。

直売所以外にも、掛川市山崎の『とうもんの里』ほかで取り扱い中

沖ちゃん塩の製造過程で得られる『にがり』は、掛川市大坂にある『はしやま豆腐』の豆腐づくりにも活用されていて、地元の無添加素材と伝統技術の融合を楽しむことができます。

沖ちゃんクラブ連絡先
静岡県掛川市沖之須379-1 コミュニティセンター『いこい』
電話:0537-48-5058
沖ちゃん塩製造所
静岡県掛川市沖之須1950-2(※常時見学はおこなっていません)