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掛川100景 【No.11】 二の丸茶室

掛川城天守閣を望みながら、掛川産のお茶を味わえる本格茶室


二の丸茶室は掛川城天守閣のすぐ下にあり、本格的な茶室で掛川産のお茶をゆっくりと楽しむことができます。

日本有数の茶産地として知られる掛川市。

茶文化に理解するうえで重要な茶室はどのようにして作られ、どんな視点で見るとおもしろいのでしょうか?

掛川城周辺の散策で立ち寄ることのできる立地です

二の丸茶室をどうミルか?👀

👀01. 『庭屋一如』 日本の伝統が融合する茶室建築の魅力

二の丸茶室は、茶室・和風建築の権威である中村 昌生氏と、日本庭園協会名誉会長である龍居 竹之介氏によって造られました。

二人の共通の価値観は『庭屋一如(ていおくいちにょ)』。
これは「庭と建物は一心同体である」という考え方で、二の丸茶室においてもこの思想が隅々まで行き渡っています。

「私はいつも庭と建物は一心同体だと考えております。ですから庭木戸を入るとき、まず茶室、天守閣の存在の大事さを支える庭の空間が欲しいと思いました」(龍居 竹之介氏)

二の丸茶室内掲示『二の丸茶室のお庭十五年に寄せて』より抜粋

「座礼で多人数に茶をもてなすことが出来ると同時に、開放的な構成は、低く穏やかな姿でそのまま山里の庭とつながる。庭と住居とは一体、『庭屋一如』の思想こそ、日本人の心の伝統であった」(中村 昌生氏)

二の丸茶室内掲示『山里の風流を偲んで』より抜粋

二の丸茶室は木造平屋建、一文字葺(いちもんじぶき)の伝統的な数寄屋造り(すきやづくり)が特徴です。

格調の高い小間『桔梗庵(ききょうあん)』と、気軽にお茶が楽しめる立札席があり、ここまで本格的な公共茶室は全国でもめずらしいといいます。

桔梗庵にも庭屋一如の思想のもと、さまざまな工夫がなされています

👀02. 生産だけでなく、消費の文化でも高みを目指すための茶室

掛川市は当時日本一の茶生産量を誇っていましたが、公共の茶室がないため、市民からは「茶室を造ってほしい」という要望が寄せられていました。

当時の市長・榛村純一氏も、二の丸茶室に対して並々ならぬ想いを持っていたようです。

「また私は『生産消費地づくり、生産地はその消費の文化でも高いものを持つべし』と言っておりましたので、茶室建設が急がれていました。(中略)私は、色紙を求められると、白楽天の『茶能散悶』、茶を飲むとストレスをよく解消できる、と記すことにしています」(榛村 純一氏)

二の丸茶室内掲示『百才時代の養生をお茶と共に』より抜粋
掛川産のお茶とお菓子が楽しめます(料金は大人510円、中学生以下250円)

二の丸茶室では、茶草場農法で作られた掛川茶(煎茶と抹茶)を堪能でき、お茶に添えられたお菓子もすべて掛川のものです。

単に地産地消に取り組むのではなく、地産地消を「さらに高い文化レベルで実現しよう」と形にしたものが二の丸茶室といえるでしょう。

👀03. 四季折々の茶室体験を二の丸茶室で楽しもう

二の丸茶室では、四季の行事に合わせて『七夕茶会(毎年7月7日開催)』『お月見茶会(毎年9月15日開催)』など、色々な茶会が開かれています。

掛川のお茶と四季折々の庭の表情を楽しみましょう

1人だとなかなか敷居が高い茶室体験ですが、こうしたイベントに参加することで気軽にお茶を楽しむことができます。

茶室から見える四季折々の景観を楽しみながら、ぜひご一服(いっぷく)ください。

◼️ 抜け道&寄り道100景~二の丸茶室

  • 将棋の王将戦の会場として二の丸茶室が使われることがある

  • 二の丸茶室では毎年6月10日は〇〇の音を聞きながらお茶を飲める

  • まちを歩きながら『庭屋一如(ていおくいちにょ)』を感じる場所を探してみよう


二の丸茶室
開館時間:午前9時30分から午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日:年中無休 ※催事等で一般営業できない場合あり
所在位置:〒436-0079 静岡県掛川市掛川1138番地の24
連絡先:0537-23-1199
ホームページ:https://kakegawajo.com/ninomaruchashitsu/

アクセス
公共交通:JR掛川駅より徒歩7分
自動車:東名高速道路掛川I.C.より約10分(大手門駐車場まで約5分)
駐車場:大手門駐車場(有料 約200台)/ 掛川城公園駐車場(有料 58台 乗用車のみ)/ 近隣駐車場(有料 大手門駐車場より徒歩5分)