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掛川100景 【No.10】 とうもんの里

古き農村文化と田園風景を守り伝える

南遠州田園空間博物館『とうもんの里』は、掛川市・袋井市・磐田市の南部に広がる美しい水田風景と、地域の農業・文化を楽しく知ってもらうための拠点として、掛川市山崎で平成19年(2007年)に整備されました。

田園空間博物館とは、日本の豊かな自然や美しい景観、人々の営みによって培われてきた伝統や文化を、屋根の無い博物館と見立てて保全・活用する取り組みです。

とうもんの里を運営する『特定非営利活動法人とうもんの会』は、長年にわたり農業や農村文化の継承と地域活性化に貢献してきた功績が認められ、令和6年(2024年)に静岡県知事表彰を受賞しました。

とうもんの里の入館者数は、令和5年(2023年)に150万人を突破しました

とうもんの里をどうミルか?👀

👀01.とうもんの里という名前の由来は? 

『とうもん』とは、稲面(とうも)や、田面(たおも)という言葉に由来する、田園が広がる場所です。

南遠州地域(現在の掛川市・袋井市・磐田市南部)は、古くから水田地帯として栄え、黄金色の稲穂が風になびく美しい風景を育んできました。

『とうもんの里』まわり一面に広がる田んぼの景色

👀02. 広大な田園風景が出来上がるまで

とうもんの里があるエリアは、もともと海面の下にありました。江戸時代の地震による土地の隆起や、川からの体積土砂によって、長い年月をかけて形成された土地です。

〜とうもんの里エリアの開発の歴史〜
江戸時代、西大渕村(現在の掛川市西大渕地区)の庄屋だった名倉五郎助が、地下水路の建設を計画。のちの土木奉行・柳原十内が工事を引き継ぐ形で完成させた十内圦(じゅうないいり)は、農業発展に大きく貢献したと伝えられています。

江戸時代の干ばつ被害や、水の利用をめぐる争いを乗り越え、共生を模索した努力の歴史が、現在の田園風景につながっています。

とうもんの里施設内にある手押し井戸ポンプ

👀03. 収穫の喜びを味わえる季節のイベント

とうもんの里では、毎週金・土・日曜日に『朝採り市』が開催され、新鮮な地元野菜や特産品を手に入れることができます。

伝統ある地場産調味料『さしすせそ』(砂糖・塩・酢・醤油・みそ)の販売や、地元ならではの伝統的な食べ方、季節ごとの調理法の普及に力を入れています。

また、「自然と触れ合うことで、地域文化や環境問題に関心を持つきっかけをつくりたい!」と、新茶まつり・そば打ち体験会・田舎味噌づくり・田んぼの生きもの調査など、年間を通じて行事を企画しています。

秋のさつまいもの収穫体験。子どもと一緒に体験会に参加すると、新たな発見がいっぱい
採れたての食材を青空の下で食べると、特別美味しく感じます

👀04. 冬の風物詩として伝わるわら小屋づくり

静岡県西部地域では冬に、北西の乾いた強い季節風『遠州のからっ風』が吹きます。(風が吹くと、気温以上に寒く感じます)

『遠州のからっ風』をしのいで野菜や農機具を保管しておく知恵として、稲わらで小屋をつくる風習がかつてこの地域にありました。

とうもんの里では、昔ながらの稲わら小屋づくりを地域の伝統として今に伝えています。

高さ3メートル程の三角形のわら小屋。大人が入るには少し狭く感じるサイズ感ですが、風をしのぐという点では、風の抵抗を受けにくい理にかなった形状です。

他にも敷地内には、やぐらや、あずまやもあります。

視界を妨げないロケーション以外に、きれいな夕焼けを眺めるために必要な条件は?
わら小屋の中にはブランコが設置されていて、子どもにとっては、かっこうの遊び場です

◼️ 抜け道&寄り道100景~「とうもんの里」

  • 敷地内の池と周囲の田んぼには、どんな生き物が生息している?

  • 田園空間博物館は(とうもんの里以外に)どこにあるだろう

  • 掛川市沿岸部の砂地地帯では、どんな農作物が作られているのか?


学びの問い

「地産地消が推進されることは、地域にどんな効果を生み出すのか」
「お米の消費量が減少している理由を、自分の食生活から考えてみよう」


とうもんの里
所在地:静岡県掛川市山崎233
連絡先:0537-48-0045
開館時間:9:00~17:00
休館日:毎週火曜日、年末年始
ホームページ :
とうもんの里ホームページ

アクセス
[クルマの場合]東名高速掛川ICまたは袋井ICから車で約20分
[公共交通機関の場合]JR袋井駅南口バス乗り場から横須賀車庫行き「七軒町」下車、徒歩7分