掛川100景 【No.20】 茶草場農法
160年以上前から受け継がれる伝統農法
茶草場農法(ちゃぐさばのうほう)は、茶畑の畝(うね)の間に乾燥させた草を敷く伝統農法です。
茶草場農法で作られたお茶は、味や香りが良いとされ、環境への配慮がなされた農法としても高く評価されています。
全国で茶草場農法をおこなう茶園は年々少なくなっていますが、掛川市ではこの伝統農法が160年以上前から受け継がれています。
緑色の茶畑とその間に敷き詰められた枯れ草、そして秋から冬にかけて目にすることができる『かっぽし』と呼ばれる草の山。
これらは掛川市を代表する景色の1つです。
茶草場農法をどうミルか?👀
👀01. 茶草葉農法の仕組みを学ぼう
茶草場農法は、大きく4つのステップでおこなわれます。
茶畑に敷く草には、周辺に生えているススキやササなどを使い、それらの草を刈り取る場所を茶草場(ちゃぐさば)と呼びます。
シーズンになると、茶草場で草を刈る様子を見ることができます。
毎年草を定期的に刈ることにより、以下の効果が得られます。
これらの効果により、茶の生育にとって必要な土壌が整い、お茶の味や香りが良くなるとされています。
👀02. 茶草場には300種以上の動植物が生息している
茶草場ではゆたかな生物の多様性が育まれ、実に300種以上の動植物が生息しています。
これは定期的な草刈りにより、草地が薮(やぶ)や森になってしまうことを防いだり、背丈の低い植物への日光を確保できたりといった、さまざまな効果が生まれているためです。
茶草場には、全国的に数が減っている『ササユリ』『オミナエシ』『フジタイゲキ』などの植物や、静岡県の固有種である『カケガワフキバッタ』などが生息しているといわれています。
👀03. サスティナブル(持続可能)な農法が評価され、世界農業遺産に認定
平成25年(2013年)に『静岡の茶草場農法』が世界農業遺産として認定されました。
これは、茶草場農法の『環境保全』と『農業生産』の両立が、世界的にも稀有でサスティナブルな事例として評価されたためです。
静岡県における茶草場農法は、掛川市、菊川市、島田市、牧之原市、川根本町の5市町で主におこなわれており、これらの地域が協力して伝統農法の保全と普及に努めています。
ゆたかな自然環境を守り続けるため、伝統的な知恵を活かしつつ、今じぶんたちに何ができるのか、あらためて考えてみましょう。