掛川100景 【No.34】 潮騒橋
静岡県が誇る、ユニークな形状の橋
『潮騒橋(しおさいばし)』は、静岡県が誇る、ユニークな構造形式を持つ橋です。
静岡県が日本で一番のものを集めた『Myしずおか日本一』にも選定されている潮騒橋は、日本一長い『吊床版橋(つりしょうばんきょう)』として知られています。
平成7年(1995年)の完成から30年近くが経つ潮騒橋。
独特な形状の仕組みを学びつつ、潮騒橋が持つ魅力について探ってみましょう。
潮騒橋をどうミルか?👀
👀01. 世界的にも珍しい構造形式が採用されている!?
潮騒橋の特徴である『4径間連続上路式PC吊床版橋(つりしょうばんきょう)』という構造形式は、世界でも例を見ないものです。
この形式では、橋の荷重を支える方法として『吊構造(つりこうぞう)』という原理が採用されています。この吊構造を理解するには、一般的な橋げたの『梁構造(りょうこうぞう)』との違いを知るとわかりやすいです。
梁構造:荷重が発生すると、上から支えるように橋全体が曲げられる力に耐える仕組み
吊構造:荷重が発生すると、橋の各部材が引っ張られる力を受け止める仕組み
これを日常的な例でいえば、『物干し竿』と『洗濯ロープ』に例えられます。
物干し竿(梁構造)は重さを支えるために曲がらない強さが必要ですが、洗濯ロープ(吊構造)は曲がらない強さの代わりに、引っ張られる力を受け止める強さで重さを支えることができます。
そのため、吊構造は同じ重さを支える場合でも、材料を軽く、効率的に使うことができるのです。
この設計により潮騒橋は、橋全体が軽量でありながらも高い耐久性を持つという、優れた構造を実現しています。
平成7年(1995年)には土木學會の田中賞 作品部門を受賞するなど、潮騒橋は単なる橋ではなく、日本の土木技術が生み出した一つの芸術作品ともいえるでしょう。
👀02. サイクリストにとってのランドマーク的な存在
潮騒橋は、自転車・歩行者専用の橋として設計されたことから、特にサイクリストたちに愛される存在となりました。
太平洋岸自転車道(千葉県銚子市から神奈川県、静岡県、愛知県、三重県、和歌山県の太平洋岸を結ぶ自転車道)の一部としても位置づけられ、長距離サイクリングを楽しむ人々にとってはランドマーク的な存在になっています。
潮騒橋は、隣接する『大東マリーナ』や『大東総合運動場』と相まって、掛川市のレジャーや観光資源としても期待を集めています。
👀03. 訪れるタイミングで変わる眺めを楽しもう
潮騒橋は訪れるタイミングでさまざまな眺めを楽しむことができます。
日中はもちろん、そのユニークな橋の形状を楽しみつつ、橋の上で風を感じながら遠州灘を眺めてみてください。
条件が揃えば、目の前の砂浜で『風紋(ふうもん)』と呼ばれる砂の模様が見られるかもしれません。
そして夕暮れどきには日中とはまた違った雰囲気で、橋のシルエットを楽しむことができます。
遠くから眺めるも良し、近くで眺めるも良し。
ぜひ自分のお気に入りの眺めを見つけてみてください。
◾️抜け道&寄り道100景〜潮騒橋
2023年放送のドラマ『VIVANT』でロケ地に選ばれた
冬のシーズンに橋を渡る際は『遠州の空っ風』に注意が必要