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掛川100景 【No.71】 掛川市森林組合

掛川の森林を守り育むスペシャリスト

掛川市森林組合は、地域の森林所有者である組合員から森林の管理・経営を受託し、森林の経済性や公益性を高めることを目的として地域社会にも貢献する、森林・林業のスペシャリスト集団です。

間伐や主伐、再造林など、適切な森林の施業を実施し、森林が持つ水源涵養(かんよう)機能を維持。また「木の駅かけがわ」を通じた薪や丸太、木製品の販売を通して、地元の森林を循環させる取り組みを推進しています。

水源涵養(かんよう)機能
森林が雨や雪などの水を蓄え、ゆっくりと地下に浸み込ませて川に流す働きのこと。この働きによって洪水や渇水を緩和し、水質を浄化する。

さらに、地域の森林を活かすという観点から電動アシスト付きマウンテンバイク(E-MTB)を活用した「フォレストツーリズム」を展開し、森林・林業の魅力を観光資源として発信。

地域住民や森林所有者と密接に連携しながら国や自治体の支援を活用して事業を効率的に進め、伝統的な森林管理の知識と新しいアイデアを融合し、持続可能な発展を目指しています。

事務所は掛川市北部の大和田にあり、まわりは山と田んぼに囲まれた自然豊かな環境です

掛川市森林組合をどうミルか?👀

👀01. そもそも「森林組合」は何をするところ?

日本の森林面積は約2,500万ヘクタールで、国土の約3分の2を占めています。

森林の多くが小規模所有で、このため個々の所有者だけでは森林の管理・経営が難しい場合が多く、森林組合はその代行役として機能しています。

森林組合が担う役割はさまざまですが、一般的には以下の活動に取り組んでいます。

《森林組合が担う役割》
・森林の管理 / 整備
・木材や林産物の生産 / 販売
・森林所有者へのサポート
・森林を取り巻く環境保全
・地域への貢献

森林組合は、全国の民有林における植林や間伐などの作業面積のおよそ5割を担っており、日本の森林整備において欠かせない存在です。

その活動は、持続可能な森林管理と地域社会づくりに大きく寄与しています。

掛川市森林組合の事務所は木のぬくもりにあふれています

👀02. 国際的な「FSC®森林認証制度」を取得

平成29年3月に遠州森林認証グループ(掛川市森林組合、森町森林組合、静岡県中遠農林事務所、掛川市、森町)はFSC森林認証を取得しました。

FSC森林認証とは、地域の森林管理が環境や社会に配慮して適切におこなわれているか、また経済的に継続可能であるかを、国際機関が基準に基づいて審査し、合格した森林や木材に認証を与える、国際的な認証制度です。

FSC認証を受けた森林から生まれる木材や製品にはFSCマークがつけられます。消費者がFSCマークがついた木材や製品を選ぶことで、世界の責任ある森林管理をおこなう林業者を支援する仕組みになっています。

FSCロゴマークは木がモチーフになっていて「FSC」と大きく書かれています

私たちが日常生活で使用しているものにもFSC認証のマークが隠れています。身の回りにあるものに、FSCマークがついていないか探してみましょう。

👀03. 掛川の豊かな森林を巡る新しい観光スタイル「フォレストツーリズム」

掛川市森林組合が実施している「フォレストツーリズム」は、電動アシスト付きマウンテンバイク(E-MTB)を使って、掛川の豊かな森林を巡る新しい観光スタイルです。

風を感じながら山の中を走るのは楽しそうです

E-MTBは電動アシスト機能により、初心者でもアップダウンのある山道を快適に走行できるため、幅広い年齢層の方が気軽に参加できます。

森の中を駆け抜ける爽快感や、聞こえる鳥のさえずり、木々の香りを楽しむひとときは、日常では味わえない特別な体験です。

ツアーでは、掛川市の森林が持つ水源涵養機能や、生態系保全、地元の木材活用について学ぶことができるほか、地元の食材やお茶を楽しむ休憩時間もあり、地元文化とのつながりも感じることができます。

この活動はただのアウトドアアクティビティに留まらず、地域活性化と森林保全の大切さを伝えるきっかけにもなっています。

ツアー中には、掛川市森林組合が行う間伐や再造林などの林業の重要性が紹介されるほか、同組合が管理する森林で生産されたFSC認証製品のことも知ることができます。

ツアーでは森林や林業についての学びも得ることができます

「フォレストツーリズム」は、単純なアウトドアアクティビティではなく、森と人、地域の未来をつなぐ取り組みで、私たちの生活と森林がどのように関係しているのかを再認識し、森を守る重要性を感じることができるツアーです。

ぜひツアーに参加し、普段感じることのできない林業の重要性や、私たちの身近な生活の中における林業や森林組合との繋がりについて感じてみてください。

👀04. 地域住民とともに挑戦する「持続可能な森林づくり」

掛川市森林組合が取り組む「持続可能な森林づくり」は、地域住民との協働で新たな価値を生み出そうとしています。

森林は水源涵養や生態系保全、地球温暖化防止などに重要な役割を果たすと同時に、土砂災害防止や景観保全など、多様な機能を持っています。

これらの機能はそこに住む人たちだけでなく、まちの人たちの生活とも深く関わるため、維持管理には地域全体の理解と協力が欠かせません。

掛川市森林組合は掛川市でのイベントや掛川市の学校での授業を通じて、地域住民や子どもたちに森林の価値や林業の魅力を伝える機会を数多く実施しています。

森林の大切さに気づくためにも、木とふれあう経験は重要です

また、森林資源を活用した薪や木材製品の販売もおこなっています。

キャンプやストーブ用の薪は「木の駅かけがわ」に並んでおり、掛川市森林組合の事務所では掛川市の木材を使った商品も数多く展示しています。

「木の駅かけがわ」では薪や丸太などが販売されています

このように掛川市森林組合は、地域住民と積極的に接点を持つことで、地域全体に掛川の森を守り育て、活かし、次世代へつなげていく活動に挑戦しています。

◼️ 抜け道&寄り道100景~掛川市森林組合

  • キャンプ場「ならここの里」では、自然や森林の大切さを体験できる

  • 掛川市森林組合の事務所に近くには「上垂木ホタルの里」がある


学びの問い

「私たちの生活の中で、森林が無いと成り立たない(手に入らない)ものはなんだろう」
「森を守るために、自分にできる取り組みにはどんなことがあるだろうか」



掛川市森林組合
所在地:静岡県掛川市大和田320-1
連絡先:0537-25-2111
ホームページ :https://www.kakemori.jp/

アクセス
[クルマ]掛川インターから北へ約25分
[公共交通機関]路線バス 居尻線(泉行き)大和田バス停下車 徒歩3分